Q−15

  • マダニについて教えて下さい。

A−15

  • 登山や山菜採りなど野山に入る機会が増える5月から7月は、野外のマダニも活発に活動する季節です。「ライム病」の病原体を持つマダニにかまれると、かみ跡の赤いはれや発熱、関節痛を起こす危険性があります。野外から帰って、肌にダニが寄生していても指であわてて取らず、とげ抜きを使うか、できれば医療機関で除去してもらう方が良いでしょう。

  • 北海道で寄生するマダニの大半は「シュルツェマダニ」という種類で、幼虫のころ、野ネズミや鳥類から血を吸ったときにライム病の病原体を体内に取り入れる事があり、成虫になって人体へ寄生したとき、病原体の媒介役を果たし、マダニのうち、ライム病の病原体を持っているのは10%ほどとみられています。

  • ライム病になると、最初は熱や筋肉痛など風邪に似た症状が起きます。

  • 放置すると関節痛や、直径5cm以上の円形に皮膚が赤くなる紅斑(こうはん)、まれに顔面にマヒが生じる場合もあります。人間同士で感染はしません。

  • 人体についたマダニは体長が2〜3ミリ程度。茶褐色で、ちょうどゴマ粒のような感じです。かまれても痛みはなく、敏感な人でかゆみを感じる程度です。

  • 皮膚に寄生すると、10日間ほどかけて血を吸い、1cm大まで膨らみます。

  • 予防には、長そでや長ズボンを着て、肌の露出を避けるのが第一歩。雨カッパみたいな表面がサラサラした生地の物の方が服につきにくく、さらに野外を多く歩いた日には、自宅に帰ってふろ場などで、体にダニがついてないか調べましょう。子供は頭部など上半身に寄生するケースが多いので、特に気をつける必要があります。

  • マダニは笹の葉から跳び付くこともあり、家に入る前に靴下の周辺なども気を付けて見た方が良いでしょう。

  • マダニが寄生しているのを発見したら「絶対にマダニを指で取らないこと」。ライム病に感染しているマダニを自分の指で取った256例を調べたところ、49例にライム病がうつされていました。

  • 指で取るとマダニの胴をつまむ形になるため、体液が口から逆流し、人の体内に入りやすいためと考えられています。病原体を持たないダニであっても、指でつまんで取れば、頭の部分が残るために、かゆみなどを生じるもとになります。

  • 一方、皮膚科などの医療機関で取り除いてもらった30例のうち、感染はわずか3例。それも3週間ダニを寄生させていたなど、特異な例ばかりです。自分でダニを取る場合でも、とげ抜きやピンセットを使い、肌に刺さっているダニの口の部分をつまんで引き抜くと良いでしょう。口の先端部分が残っても、病原体が人体に入る可能性も低くなります。

2003.4.30